先週から、野球のWBC、世界フィギャア、サッカー日本代表の試合等のスポーツ大会が開催されていて、スポーツ好きにはたまらない日々だと思います。
そこで、今回は、スポーツと著作物の関係について、取り上げてみます。
先ず、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です(著作権法2条1項1号)。
上記のようなスポーツの試合自体は、思想又は感情を創作的に表現したものではないので、著作物には該当しません。
一方、スポーツの中継は、中継の仕方などが思想又は感情を創作的に表現したものであるので、著作物に該当します。
例えば、著作権では、球場で、野球、サッカーの試合を、観客が写真、動画を撮影することができます。
一方、「違法だよ!あげるくん」のCMでお馴染みのように、スポーツ中継を、その視聴者が録画して、インターネットにアップロードすることは、著作権の侵害行為になります(送信可能化権の侵害)。
スポーツの中でもフィギャアスケートの競技は、芸術的な要素が高いと思われますが、フィギャアスケートの競技も同様にスポーツであり、著作物に該当しません。
一方、フィギャアスケートのアイスショーは、芸術的な性質を有する演技などが思想又は感情を創作的に表現したものであるので、著作物に該当します。演劇と舞踊と同じようなものと同様な扱いです。
このような著作物の考え方によると、著作物であるアイスショーを撮影することは著作権上禁止されていても仕方ないですが、フィギャアの競技会では、野球、サッカーのように、フィギャアスケート会場で、フィギャアスケート選手の演技を、観客が写真または動画を撮影することは、著作権上認められるはずと考えられます。
しかし、競技会でも、撮影禁止になっています。
この理由は、演技の妨げや肖像権の問題により、撮影が厳格化されたようです。